東京高等裁判所 昭和61年(ラ)776号 決定
かくして、相手方は事件の記録上前記差押えの効力発生後に右二階部分及び四階部分の占有を開始したものであることが明白であり(相馬や竹田の賃借権及びその占有を承継したからといって、相手方の占有開始が右両名の占有開始時にさかのぼるいわれはない。民法第一八七条は占有を右のようにさかのぼらせるための規定ではなく、差押えの効力発生後の占有開始かどうかの判断とは無関係の規定と解するのが相当である。)、かつ、買受人に対抗し得る占有権原を有すると認めるべき事由は全く見当たらない。仮に、前記相馬及び竹田の短期賃借権を譲り受けたものとしても、その賃借期間が前記差押えの効力発生後満了しているので、その更新をもって買受人である抗告人に対抗できない(最高裁判所昭和三八年八月二七日判決・民集一七巻六号八七一頁参照)ので、抗告人の相手方に対する本件引渡命令の申立ては理由がある。
(賀集 安國 伊藤)